田中角栄という人物
『オヤジとわたし』 早坂茂三著
頂点をきわめた男の物語/田中角栄との23年
著者は、田中角栄の秘書を23年勤めた人。
最初に書いた本ですね、これは。
いろいろ学ぶことがあります。
「約束したら、必ず果たせ。できない約束はするな。
ヘビの生殺しはするな。借りた金は忘れるな。
貸した金は忘れろ」
「メシ時になったら、しっかりメシを食え。シャバにはいいことは少ない。
いやなことばっかりだ。それを苦にしてメシが食えないようではダメだ。
腹が減って、目が回って、大事な戦はできん」
なぜ、日中国交正常化をそんなに急ぐのかと問われて、
「毛沢東とか周恩来という、いまの中国をつくった創業者は、共産主義であれ
何であれ、えらい苦労をしてきた連中だ。多くの死線を越えてきた。
それだけに、すべてないものづくしの中で、あのでかい国をやりくりしていくためには、
いま何が必要かということがよくわかっている」
「だからあの連中が元気なうちに、この勝負を決めなければならないんだ」
ロッキード事件裁判の時でも、著者がマスコミに腹立てているのに対し、
「そう言うな。あいつらもそれで飯を食っているんだ。家族がその背中に乗っている。
オレの悪口を書いて、それで連中も飯が食えればいいじゃないか。
いずれカタがついたら、あいつらもだいぶ儲かったろうから、一割か二割、
払いは戻してもらおうや」
「政治の仕事は国民の邪魔になる小石を丹念に拾って棄てる。
国の力でなければ壊せない岩を砕いて道をあける。
それだけでよい。いい政治というのは、国民生活の片隅にあるものだ。
目立たず、つましく、国民の後ろに控えている。
吹きすぎて行く風-政治はそれでよい」
などなど、話題はつきません。
うーん。まさに、コンピュータ付きブルドーザーといわれたり、
明朗闊達、豪放磊落、竹を割ったような気性といわれる訳ですね。
いろいろ評価はありましょうが、傑出した政治家であったことは間違いないでしょう。

